週末キーボーディストの備忘録

休みの日に鍵盤をときたま弾く人のブログです。

映画『犬ヶ島』の感想

こんにちは。

週末キーボーディストです。
映画『犬ヶ島』を観たので、その感想です。

 

 無抵抗な服従者たちが、立ち上がる

犬が先にあったのか、日本が先にあったのかわからないけど、日本で犬の話やるって、割とドハマリしている気がします。なんか、犬ってステレオタイプな「サムライ」っぽいと思うんですよ。忠義に厚いじゃん。飼い主=君主のために命張るし。やれって言ったこと全力でやるし。

今回のお話は、そういった関係性の中で、、一方的に弱者を虐げている者と、無抵抗に服従している者の話なのかなと。ブラック企業みたいな。日大みたいな。てか今の日本じゃね?みたいな。そういう意味で『七人の侍』の農民たちを思い出したり。

だからこそ、犬たちが恣意的に追いやられて虐げられているという状況から、反抗するために立ち上がるところに、凄くグッときました。ただ、犬たちも急に立ち上がるわけではなく、1人の少年がきっかけでして。

小林アタリという男

それが、小林アタリという少年。本作の悪役である小林市長の養子。

余談だけど、この「小林」というのは、東宝の創業者(小林一三)と同じ名字ですね。『七人の侍』のBGM使ったり、黒沢明作品の影響をとても受けていると監督も言っているし。本当に東宝社長から取ってるかもな。

アタリもアタリで『レディ・プレイヤー1』や『ストレンジャー・シングス』にも登場する、ゲーム会社の名前と一緒ですね。ちなみにアタリは、世界初のロム式(現在のゲーム機と同じで、複数のゲームを楽しめる)のゲーム機を販売した会社。アメリカの企業なので、この少年とは無関係かも知れないけど。

ただ、2つのアタリには共通点もあります。それは、新たな風を呼び込んだところ。ロム式のゲームと同じように、少年アタリは、危険な目に遭いながらも、犬と人間の関係性を更新していきます。

命がけで自分の犬を助けに来たりね。ブラック企業の上司だったら、「は?お前死ねよ」で終わりですよ。彼が犬のことをどう思っているかがよくわかります。

そんな彼を、島の犬たちが手助けしてくれます。自分たちのためには、冒険しないけど、誰かのためになら冒険しようと思える犬たちがステキ。人の役に立つのって嬉しいよね。

正しい選択は、悪役にもできる。

そんなこんなで小林アタリは、5匹の犬たちをはじめとした優しい犬たちによって、困難を乗り越えながら、愛犬スポッツを発見。しかし、そこで養父である小林市長の思惑を知りブチ切れ。犬たちの無実を晴らすべく、犬たちと共にメガ崎市に乗り込むことに。

余談だけど、犬たち賢すぎるでしょ。船の設計図こそアタリ作だけど、作ったのほとんど犬じゃん。まぁそれだけ、犬が無抵抗だったということだけど。

そんなこんなで、無事メガ崎市へ。小林市長に反抗する高校生たちとともに、演説会場へ突入するのであります。そこで、アタリの感動的なスピーチとともに、感染病が治る薬を使って、犬たちの無実?を晴らします。

ただ、幕引きは結構意外だった。それは、悪役である小林市長の最後の選択肢がご先祖様とは大分異なったから。ご先祖様は養子に首をはねられたのに対して、小林市長は自ら引くことを最終的に選ぶんですよ。

歴史を(良い方向に)変えるのって、英雄だけだと思いがちだけど、悪いやつが変える可能性もあるんだよね。これって、かなり優しい目線だと思いました。正しい選択はいつだってできるっていうね。

結果アタリが市長になったのは笑ったけど。